夏の海のバカンスとウラジオストク西部の3か国国境をめぐる冒険

夏のバカンス
ウラジオストク便り

今年は例年よりかなり暑い夏だったウラジオストクですが、海のバカンスの楽しみ方もいろいろのようです。

8月中旬に休暇を取って近郊のビーチに泊まりがけで出かけたインスタグラマーのアンナさんからこんな便りが届きました。

「先週の木曜から日曜にかけて、ヴィチャジ(Витязь)というビーチの町を訪ねました。ヴィチャジはウラジオストクから南西に200㎞ほど離れたガモヴァ半島にある入り江のビーチです。

ヴィチャジ地図

ヴィチャジとその隣町のアンドレエフカは海と山があってウラジオストクの人がよく休息にいく場所です。モルディブみたいに海がきれいで、周辺には景色の美しいテリャコフスコヴォ湾(бухта Теляковского)やガモヴァ岬の灯台(Маяк Гамова)があります。

ヴィチャジの入り江
ヴィチャジのビーチ

海は青く、この時期波は穏やかです。貝殻でつくったオブジェがビーチに置かれていました。

貝殻でつくったオブジェ
貝殻

ビーチでは波打ち際に牛たちがのんびり休んでいました。

ビーチでのんびりする牛たち

古い帆船が廃船となって放置されていました。

古い帆船の廃船
廃船

夕暮れが近づくと、ビーチと空がほんのり赤く染まります。

夕暮れ時の海

この白いドームは昔の防空レーダードームの廃墟です。実はここは国境が近いので、あちらこちらに軍事施設が残されています。その多くは廃墟となっていますが、一部まだ使われている施設もあります。

防空レーダードームの廃墟

私たちが泊まったのは、このようなシンプルな小屋でした。昔、子供の頃キッズキャンプで泊まった小屋に似た質素なものです。1泊は3600ルーブル(約5400円)で、部屋はトイレとシャワー付きです。

宿泊したシンプルな小屋
寝室

ここに来るのは2回目です。宿泊先はここ以外にもペンションや海の家のような施設もあり、予算によって選べます。サマーシーズンは短いので、これらの宿泊施設の料金はウラジオストク市内の3~4星のホテルと変わりません。

食事はウラジオストクで買いこんできた肉やハム、野菜、パンなどでBBQをしました。隣町のアンドレエフカにはスーパーがありますが、いつも行列ができています。朝ごはんはソーセージを焼き、カップヌードルを食べました。

バーベキュー

ヴィチャジでは乗馬ができるし、近海をクルーザーで訪ねるツアーもあります。SUP(スタンドアップパドル・サーフィン)のボードや四輪バギーのレンタルもあります。

ここに来て本当にのんびり過ごせたのですが、ひとつだけ残念なことがありました。海はとてもきれいなのですが、漂着するゴミが多かったことです。私はビーチで知り合った数人の女性と一緒に2時間ぐらいごみ拾いをしました。

ちなみにゴミというのは、韓国語や日本語で書かれたパンやアイスクリーム、スナックのプラスチックパックでした。海のゴミには国境がないですね。

ヴィチャジで3泊過ごしたのですが、最終日にせっかく遠くに来たので、国境の町ハサン(Хасан)を訪ねてみようと思い立ちました。ここから南西へ70㎞ほど離れています。

ハサン地図

※縦に延びている黒い線が中国とロシアの国境です。中央を東西に流れる川は朝鮮名「豆満江(Tumangang)」(中国名「図們江」)で、ロシアや中国、北朝鮮の国境になっています。ハサンはこの地図には地名が落ちていませんが、黄線の道路の「A189」の最も南に位置する川沿いの集落です。つまり、ハサンはロシア、中国、北朝鮮の3か国の国境を接する場所にあります。

ハサンまでの道路の状態が悪くて、着くまで思ったより時間がかかりました。

ハサンにはロシアの国境守備のモニュメントがあります。近くに北朝鮮から鉄橋を渡って延びてくる鉄道の駅(ハサン駅)もあります。

ロシアの国境守備のモニュメント

さて、私たちは3か国の国境の合流点まで歩くことにしました。

国境の合流点まで歩く

かなり近づいたところにきれいな蓮の池がありました。池の向こうに見える中国式の塔は中国の国境展望台です。

蓮池の向こうに見える中国の国境展望台

もっと進むと、中国との国境の柵が見えてきました。柵の向こうは豆満江が流れています。柵から2~3m離れた場所に、3か国の国境の合流点を意味する大理石の碑が見つかりました。

3か国の国境の合流点を意味する大理石の碑

そこには、ロシア語と中国語、朝鮮語でそれぞれ3か国の国名が刻まれていました。1999年に建てられたもののようです。

碑に刻まれた中国語
碑に刻まれた朝鮮語

北朝鮮とロシアの間は、豆満江をまたぐ鉄道の鉄橋で結ばれています。2019年に北朝鮮のリーダーはこの鉄橋を渡ってウラジオストクまで専用列車でいらっしゃいましたが、普段はほとんど貨物列車が運行しています。

北朝鮮と結ぶ鉄橋の前には国境守備隊の施設があります。ここにはロシア人向けのツアーで訪れることができますが、外国人は立ち入り禁止です」

アンナさんは夏のバカンスの合間にこんな冒険をしていたのですね。まだまだ誰も知らないウラジオストクの顔があることを教えてくれました。

この写真は、同じ3か国の国境を中国の展望台から眺めたものです。

3か国の国境を中国の展望台から眺めたもの

正面右手に見える川が豆満江で、それに架かる鉄橋が先ほどアンナさんが話した北朝鮮からロシアに延びる鉄道橋です。手前左手はほぼロシア領で、橋のたもとの少し手前に国境守備隊の施設が見えます。

※3か国国境についてはこちら

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