UFOの町、ダリネゴルスクへようこそ!
ウラジオストクから東へ約500㎞離れたところにダリネゴルスク(Дальнегорск)という町があります。野生のトラやヒョウなどが生息することからユネスコの世界自然遺産に登録されているシホテアリニ山脈南部に位置しています。
日ロ経済協力のための機関であるウラジオストク日本センターのスタッフのオリガさんからとても面白いレポートが届きました。
先日、私はダリネゴルスクに視察に行く機会がありました。この町は、ロシアではUFOの町として有名です。1986年に未確認飛行物体がこの町のすぐ近くの標高611mのイズヴェストコヴァヤ山(611高地)に墜落するという事件が起きたからです。
「611高地UFO事件」と呼ばれるこの出来事は、当時から今日に至るまで、地元のみならず、多くの人々の関心を呼んできました。
地元のUFO研究愛好家であるドヴゥジリニィ氏は、墜落現場を訪ね、さまざまな痕跡を収集しました。その後、科学アカデミーの研究所に引き渡され、分析されました。
その詳細は明らかにされていませんが、この出来事は、1908年にシベリアのエニセイ川支流にあるクラスノヤルスク地方の上空で起きた隕石の大爆発(ツングースカ大爆発)を思い起こさせます。それは半径30~50㎞にわたって森林が炎上するという大惨事でした。一方、ダリネゴルスクのケースは小規模の爆発が連続して何度も起きたことから、むしろ宇宙人を乗せたUFOが墜落したのではないかという噂を広げたのです。
UFOの町といえば、日本では福島県飯野町の千貫森が有名ですね。この町の標高462.5mのきれいな円錐形の山が千貫森で、その周辺には古来、多数の発光物体の目撃例が見られました。謎多き山で、多くのミステリーゾーンが存在することが知られています。
そうした謎の研究資料やUFOに関する書籍を集め、展示する施設として1992年に開館したのがUFOふれあい館です。著名なUFO研究家である荒井欣一氏が収集した古今東西の蔵書や資料が寄贈され、収蔵されていることから、多くのUFOマニアが訪れる場所になっています。荒井欣一氏は、1955年に設立された「日本空飛ぶ円盤研究会」を組織した中心人物で、この研究会には作家の三島由紀夫も参加しています。
もっとも、この博物館はまちおこしの一環で建てられたものともいえます。そして、ダリネゴルスクでも同じような動きがあります。2018年7月、地元のエキシビジョンセンターでダリネゴルスクをUFOの町として盛り上げるためのイベントが開催されています。
そのとき、イズヴェストコヴァヤ山(611高地)に置かれたのが、空飛ぶ円盤とその乗員である宇宙人のオブジェでした。
イベントを伝える地元メディアの記事はこちら
動画もあります。
611 шагов к звездам – мы их совершили!
イベント会場となったエキシビジョンセンターは別名「ストーン・ミュージアム」と呼ばれ、地元で採掘される豊富な天然資源や鉱石を展示しています。ダリネゴルスクはもともと鉱山の町でもあるのです。
この町の鉱山を最初に開発したのは、ウラジオストク生まれの有名なハリウッド俳優ユル・ブリンナーの祖父です。
こうしたことから、ダリネゴルスクから35㎞ほど東の海域に、ブリンナー岬と名付けられた日本海に面した高台と美しい灯台があります。
周辺には、にょっきりと突き出たふたつの岩(ブラザーロック)や石柱が並ぶ海岸線など見どころがたくさんあります。
この海域の美しい景観を撮影した動画を紹介しましょう。
これを撮影したのは、ウラジオストク在住の映像作家のパラジュク・アントンさんです。
彼は昨年公開されたドキュメンタリー映画『海を越える愛』の監督のひとりでもあります。この作品は、2020年の札幌国際短編映画祭の出品作で、第二次世界大戦後のシベリア抑留中に、抑留者のひとりだった日本人医師に命を救われた叔母を持つエレーナ・アンドレエワさんがインタヴュアーとなり、島根県の6人の日本人と沿海地方の3人のロシア人の家族の戦争の記憶をたどりつつ、国を超えた市民交流の大切さと、今も続くお互いの心のつながりを伝える作品です。
この作品はYOUTUBEでも観ることができます。
『海を越える愛』 日本語字幕付き(28分)
製作:ロ日の懸け橋「花道」プロジェクト(ウラジオストク、2020年)
監督:アンドレエワ・エレーナ/アラディン・アレクサンドル/パラジュク・アントン
どうですか。話題盛りだくさんで、しかも海辺の美しい景観に恵まれたダリネゴルスクに行ってみたいと思いませんか?
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