たき火を飛び越える東スラブ地方の伝統祭り「イワナ・クパーラ」開催
イワナ・クパーラ(Ивана Купала)は、毎年夏至の日に行われる東スラブ地方の伝統的な祭りです。ウラジオストクにも、ウクライナをはじめとする東スラブ出身の人たちが多く住んでいて、今年は7月10日(日)、郊外にある「ウサジバ・ヴァヴィロヴォ(Усадьба Вавилово)」というロシア様式の洋館の庭園で開催されました。
一般に東スラブ人というのは、現在のウクライナ人やベラルーシ人、モスクワ周辺のロシア人などを指します。イワナ・クパーラは、ロシアにキリスト教が伝来される以前からある古い土俗的な宗教儀式の伝統に、バプテスマのヨハネ(聖書の中に登場するキリストに洗礼をした宗教者)の降誕というキリスト教の祝祭が継ぎ足されたことで現在に至っています。
国際ニュース:AFPBB News
この祭りに家族で参加した日本海ブリッジのウラジーミルさんが会場の様子をレポートしてくれました。
彼はこの祭りについてこう話します。
「イワナ・クパーラは、ロシアに古くから伝わる祭りで、伝統衣装を着た女性たちは自分が被った花輪を川に流し、遠くまで流れたら早く結婚でき、幸せになれると信じられています。また、たき火をして、その炎を飛び越えると、魂が浄化されるといわれます。
この祭りはソ連時代には一時禁止されていたようですが、ウラジオストクでは2008年頃から再開されるようになりました。その日、多くの子供を連れた家族がウサジバ・ヴァヴィロヴォの庭園に集まりました。特に女性が多く、ロシア文化に関心のある人たちです。この庭園では、イワナ・クパーラだけでなく、さまざまなロシアの文化行事や祭りが開催されます」
会場では、地元の民俗音楽アンサンブルの「トラヂーツィヤ(Традиция ロシア語で「伝統」)」が招待され、祭りをにぎやかに演出してくれました。
では、以下祭りの様子を撮った動画を紹介しましょう。
お屋敷の2階のテラスから庭園に集まったウラジオストクの人たちを映し出します。
参加した人たちが輪になって踊ります。女性と子供たちが多いですね。
女性たちがお互いの首飾りやスカーフを交換し合い、ハグします。ウラジーミルさんによると「この儀式はお互いの魂が近づき、姉妹のように親しくなることを意味している」そうです。
再び女性たちは輪になって踊ります。バラライカを演奏しているのは、トラヂーツィヤのメンバーのひとり、アンナさんです。真ん中に座ってスカーフを被って顔を隠していた男性は、メンバーのワシリーさんです。
いよいよ庭にたき火が点けられます。女性たちはアコーディオンやバイオリンの演奏に合わせて火のまわりで踊り出します。
今度はたき火のまわりを、手をつないでぐるぐる回り始めました。子供たちも楽しそうです。
そして、ついにたき火をみんなが次々に飛び越え始めます。この儀式はもともと結婚を意識した若い男女が手をつないでたき火を飛び越えるという風習だったようですが、現在では必ずしも男女ではなく、女性同士、親子、友人同士で行うようです。
ほかにも伝統的な儀式では、女性たちは祭りの前夜に集められ、ハーブやシダの収穫をしたそうです。これらの植物は、魔法の力を持っていると信じられていたのです。
ロシアには、イワナ・クパーラのような、日本ではあまり知られていない伝統的な祭りがたくさんあります。その多くが、ソ連時代が終わったあと静かに再開されていきました。もっとも、ピオネールの日のように、ソ連時代に始まった行事をいまも大切にしているところもあります。ロシア人が自らの文化的な伝統を大切にしていることがよくわかります。
民俗音楽アンサンブル「トラヂーツィヤ」は、ロシアの古い民俗音楽を継承していくことを目的に、極東芸術アカデミーの卒業生らによって1991年に結成されています。
ウサジバ・ヴァヴィロヴォは、ロシアの伝統文化を彩る祭りやイベントの会場となることで有名です。同館のオーナーは地元レストラン「ノスタルギーヤ」のオーナーでもあるタマラさんです。ここでは、プライベートコンサートや食事会などの各種イベントを外国人観光客にも提供しています。詳しくは日本海ブリッジにお問い合わせください。
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