ウラジオストクの春の訪れを告げるフクジュソウが咲きました

フクジュソウ
ウラジオストク便り

ウラジオストクのアンナさんから春の花の便りが届きました。

「3月下旬の週末に郊外のダーチャに行ったら、庭にこんなにかわいい黄色の花が咲いていました。ネットで調べると、日本ではフクジュソウというそうですね」

フクジュソウ(福寿草)は、キンポウゲ科の多年草で、日本では九州から北海道にかけて自生しています。花の開花は初春で、3~4cmの黄色い花を咲かせます。石灰岩質を好み、茎はほとんど伸びず、小さな葉が地面を這うように広がり、その上に花が咲く。フクジュソウの花は、昼間日光が当たるときだけ開き、夕暮れになると閉じます。

庭に咲くフクジュソウ

日本では、春を告げる花の代表で、元日草(がんじつそう)や朔日草(ついたちそう)の別名を持っています。早春の梅の花がほころぶ頃、つぼみをもち上げます。「福を招く」というおめでたい名前から、縁起のいい花として古くは江戸時代から栽培されてきました。

フクジュソウにはいくつかの種類があり、ウラジオストクで咲いているのは、日本の種とは違い、キタミフクジュソウ(Adonis amurensis)と呼ばれています。キタミフクジュソウの種名の amurensis は「アムール川流域の」という意味で、シベリアや極東ロシアに自生しています。日本での自生地は北海道東部に限られます。

キタミフクジュソウの特徴は、一株に一輪しか花を付けないところです。写真をよく見てください。

庭に咲くフクジュソウ2

確かに、地面に張りついたニンジンのような小さな丸い葉の上に、どれも一輪だけ咲いています。日本で自生しているフクジュソウは、一株に何輪も咲くので、それが違いだそうです。

「私の母は花の栽培が好きで、季節ごとに庭に花を咲かせています。ウラジオストクには日本と同じ種類の花がけっこうあるんですよ。5月には桜も咲きます。夏になると、郊外の湿原にスイレンの花も咲きます」とアンナさんはいいます。

スイレン
※スイレンはウラジオストクだけでなく、ハバロフスクやサハリンにも多く自生しています。

日本と似ているといえば、いまの季節、ワラビなどの山菜がスーパーの野菜コーナーに並んでいますが、極東ロシアの森でもワラビがたくさん採れます。

日本のスーパーで売られているワラビ

日本では煮物にしたり、天ぷらにしたりして食べますが、ロシアでは肉や海藻などと一緒に油で炒めたり、煮て食べます。極東ロシアのレストランの前菜(ザクーシカ)のひとつの定番メニューです。

ウラジオストクの市場に行くと、この写真のようなワラビが売られています。

ウラジオストク市場で売られているワラビ

こうした山菜を食べる習慣はもともとロシア人にはなく、いまでもモスクワやサンクトペテルブルクの人たちはあまり食べないようですが、極東ロシアの人たちの食生活には溶け込んでいます。もともとこれらを食べていたのは、先住民の人たちや19世紀後半にこの地に来たコリア系の人たちでした。

日本にいちばん近いヨーロッパのウラジオストクでは、日本と同じ種類の花や食材がいくつもあるのです。

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