5月のウラジオストクはワラビ摘みの季節。料理のレシピも教えます。
日本では春を迎える3月頃から山菜摘みの季節になりますが、ウラジオストクでは5月中旬から始まります。
ウラジオストク在住で、当サイトではもうおなじみのインスタグラマーのアンナさんが、先日森にワラビ摘みに出かけた話を教えてくれました。
豊かな自然に恵まれ、タイガの森に囲まれた極東ロシアの人たちは、私たち日本人と同じように、ワラビを採って、調理して食べるのです。いまの季節、ウラジオストクの市場に行くと、袋詰めされた新鮮なワラビが売られています。煮込んでアク抜きしたワラビも売っています。
ついでにいうと、ウラジオストクをはじめとした極東ロシアには、コリア系の人たちが住んでいるので、キムチなどの韓国のお惣菜(パンジャン)もよく食べます。
ウラジオストクではロシアの食文化のみならず、近隣アジアの国々と共通する食材が取り入れられているのは、興味深いことではないでしょうか。
スーパーのお惣菜売り場に行くと、ワラビ料理がパンジャンと一緒に並んでいます。市場のワラビは韓国風で、よく見るとトウガラシの赤い実がたっぷり使われています。ただし、ロシア人がつくる場合は、このようにトウガラシを入れることはありません。ロシア人の食の好みは、どちらかといえば日本人に近いといえるでしょう。
ワラビ摘みの話に戻りましょう。アンナさんによると、ウスリースクというウラジオストクから北へ100㎞ほど離れた町があり、そこから車で南に15分ほどのクラスヌィ・ヤール(Красный Яр)という村の森に出かけたそうです。
これはウスリースク駅です。ウラジオストクから鉄道で2時間ほどです。ウスリースクは極東ロシアでは古い町のひとつで、由緒ある教会や劇場などがあります。郊外には1000年以上前にこの地で栄えた渤海国の遺跡もあります。もともとこの周辺には先住民族も暮らしていました。
彼ら先住民族は、古来狩猟生活をしながら、春になると山菜を摘み、野山のハーブを肉や魚料理に使って食用としてきました。たとえばラムソン(クマニラ)やチョウセンゴミシ(朝鮮五味子)、松の実などです。この赤い実がチョウセンゴミシです。
森ではキノコもたくさん採れますし、ミヤママタタビの実やコケモモ、グランベリーなどのベリー類もそうです。
実をいうと、クラスヌィ・ヤール村は昔、アンナさんのおじいさんが住んでいたそうで、お墓があるそうです。ロシア人はお墓参りを熱心に行う人たちなので、子供の頃からその森をよく訪ねていたのでしょう。おかげで、勝手知ったる森の中、毎年5月中旬ぐらいになると、必ず出かけてワラビ摘みをするのだそうです。
さて、ワラビ料理のレシピですが、日本とロシアでは調理法や食べ方が少し違うようです。
ワラビは繁殖力が強く、栄養価も高い山菜です。日本ではアク抜きをしたあと、醤油などで水煮して食べますが、ロシアでは肉や根菜類の野菜などと一緒に炒めるのが一般的です。
料理の名前は「папоротник жареный с мясом」といいます。意味は「肉とワラビの炒めもの」。名前のとおりの料理です。
ワラビは火を通しても、心地よい繊維質の歯応えがあり、特有の粘りがあるので、肉と相性はよさそうです。
アンナさんが教えてくれたレシピは次のようなものでした。
まず、オイルでタマネギとニンジンを炒めます。 さらに、豚肉をスライスにしてフライパンに入れて炒めます。
肉に火がしっかり通る10分くらい前にワラビを入れて、フタをしないで炒めます。
パプリカパウダーや塩、コショウ、ニンニクパウダーなどでしっかり味をつけます。
生ワラビは苦味があるので、調理の前に1日ぐらい塩水に浸け、水は数回捨てながらアク抜きをします。1日たったら、3分ほどさっと茹でます。これでワラビのアク抜きは完了です。
ウラジオストクのレストランに行くと、ワラビ料理はたいていメニューにあります。味つけは店によって少し違いますが、前菜としておいしくいただけます。
YouTubeでロシアのワラビ料理のレシピ動画を見つけたので、最後に紹介しておきましょう。
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