黒澤明監督作品「デルス・ウザーラ」の撮影地、アルセーニエフは見どころいっぱい
ウラジオストクはロシア沿海地方の中心都市ですが、周辺にも見どころいっぱいの町がたくさんあります。そのひとつがアルセーニエフ(Арсеньев)です。
10月8日、ウラジオストクから北東に250㎞ほど離れたアルセーニエフで開催されたツーリズム会議に参加した日本海ブリッジのウラジーミル・ルセンコさんが会議の様子や町の見どころについて解説してくれました。
「この会議では、アルセーニエフの観光ポテンシャルを高めることを目的に、地元の旅行会社やホテル、スキー場、市政府の関係者が意見を交換しました。ウラジオストクからは私のような旅行会社の人間だけでなく、ウラジオストク日本センターの関係者も出席していました。
アルセーニエフは人口約5万人の町ですが、軍事用ヘリコプター工場があり、多くの技術者や科学者が住んでいます。科学の町といってもいいでしょう。これはこの町の誇りです。
会議では、この町の魅力的な観光スポットがテーマになりました。
まずアルセーニエフにはスキー場があります。冬のシーズンはウラジオストクからも多くのスキー客が訪れます。スキー場の名前は「アルスゴラ(Арсгора)」といいます。
それから、以前アヌチノ村のハチミツ祭りの話をお伝えしましたが、この町は豊かな自然に囲まれ、沿海地方でいちばんの牛乳工場があります。
そして、この町を世界に知らしめているのが、著名なロシア人探検家のウラジーミル・アルセーニエフの探検記録をもとにした黒澤明監督作品『デルス・ウザーラ(Дерсу Узала)』の撮影地であることです。
『デルス・ウザーラ』は1975年公開のソ連映画で、黒澤監督は1974年5月27日から約1年かけてアルセーニエフで撮影しています。物語は、ロシア政府からシホテアリニ山脈のふもとの未開の地の地図を製作するよう命を受けたアルセーニエフが探検隊を率い、現地入りしたとき、森の中で偶然知り合った先住民族のナナイ人猟師のデルス・ウザーラとの交流を描いています。
私たち一行は、黒澤監督が宿泊したホテル「ガスチーニッツァ・タョシュナヤ(гостиница Таёжная)」を訪ねました。ホテルの名前は「シベリアの森(タイガ)」が由来です。
黒澤監督が滞在した部屋を見学しました。
長期滞在用の部屋で、デスクや応接室などもあります。
部屋の壁にはいくつもの黒澤監督の写真が飾られています。
これは撮影中の写真です。
ホテルのロビーの壁に、アルセーニエフとデルス・ウザーラが森の中を一緒に歩く姿が描かれています。いつか私もこのホテルに泊まってみたいと思いました。スイートルームは1泊1万円くらいだそうです。日本人の方がお泊りになることもあるそうですよ」
さて、この町には博物館もあります。名前はアルセーニエフ歴史博物館(Музей истории г. Арсеньева)です。
1969年にオープンし、アーセニエフだけでなく、沿海地方全体の歴史を展示しています。現在の建物は1989年に再建されたものです。
この博物館のメインのコレクションは、ウラジーミル・アルセーニエフの生涯と彼の業績に関する資料です。映画『デルス・ウザーラ』の撮影に関するさまざまなオリジナル資料を見ることができます。
実をいえば、この町は1902年にロシアとウクライナ西部からの入植者によって建設され、当時はセミオノフカ村と呼ばれていました。アルセーニエフに改名されたのは1952年のことです。博物館の展示の中に、入植当時の農民の衣装や住居を再現したものもあります。
また、この自然豊かな沿海地方の動植物の展示があり、海洋生物や昆虫のコレクションもあります。
黒澤ファンでなくても、こうしたロシアの小さな町でのんびり滞在を楽しみたいものですね。ウラジーミル・ルセンコさん、報告ありがとうございました。
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