毎年9月日ロの地域協力を促進する東方経済フォーラムが今年も開催されました
今月2日から4日にかけて、ウラジオストクで東方経済フォーラム(EEF)が開催されました。
東方経済フォーラムは2015年から毎年開催されている極東ロシアの開発をテーマとした国際的な会合です。昨年はコロナ禍で中止となり、2年ぶりの開催となりました。
会場はルースキー島にある極東連邦大学です。
ハバロフスク在住の旅行会社ポータル・セゾノフのアナスタシア・セパテシコさんがこのフォーラムについて寄稿してくれました。
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2015年以降、9月は極東ロシアにとってビジネスの季節になりました。私は初開催のとき、ウラジオストクを訪ねたことを思い出します。
この国際的な会合には、ロシア政府や現地企業だけではなくて、世界中の大企業や有名な政治家も参加します。
コロナ禍になる前の2019年のEEFには世界66カ国の8500人以上の方が参加しました。企業のトップも440社が訪れています。
日本の代表団も、もちろん毎年東方経済フォーラムを訪れています。2016年から19年までは、安倍晋三総理大臣(当時)が日本の代表として参加しています。
日本の大企業も、丸紅や三井物産、双日、トヨタ自動車、日揮、日本航空、そして国際協力銀行も参加しています。
2015年から日露両国は、農業やエネルギー、医療、観光などの分野で話し合いが持たれ、多くの投資協定が結ばれました。2016年に行われたフォーラムのとき、ハバロフスク空港と双日や海外交通・都市開発事業支援機構、ジヤトコ株式会社が現代的なエアターミナルを建設する協定を結びました。
ハバロフスクでは2019年に国内線の空港ターミナルがオープンし、現在は国際線ターミナルの建設が始まっています。
世界中から大事なゲストが集まるフォーラムですから、文化やスポーツのプログラムもあります。極東ロシアの産品を紹介する展示会をはじめ、美術館や映画、コンサートなどのイベントも開催されます。ロシアの先住民族の人たちもイベントを盛り上げます。
実は、海外からもアーティストがウラジオストクに来ます。たとえば、日本のジャズ歌手の宮本美季やイギリスのポップシンガーのソフィー・エリス・ベクスターなどが参加しました。
宮本美季オフィシャルサイト (mikimiyamoto.jp)
スポーツが好きな方には、ホッケーや武道、ヨット競技などの競技会を行います。2019年の中心的なスポーツイベントは国際柔道大会でした。柔道大会はロシアのウラジーミル・プーチン大統領と日本の安倍晋三総理大臣(当時)が開催あいさつを行いました。
2021年のEEFのテーマは、コロナ禍における世界経済や観光交流、医学分野での国際協力でした。
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今年は政局もあり、菅総理大臣が参加することもなく、日本では東方経済フォーラムの話題はそれほど盛り上がっていませんでしたが、ロシア側の受けとめ方は違います。
恒例の「日露ビジネス対話」では、以下のような討議が行われました。
ロシア極東地域は、日露相互に有益なビジネスの発展のための重要な原動力で、両国の経済関係のさらなる発展のための重要なプラットフォームです。
実際、日本企業のプロジェクトが多数実施されています。同時に、北極は海洋通信の発展、北極棚の炭化水素鉱床の開発、海洋漁業、海洋生物資源の保存・向上の面で、日本にとっても有望なフィールドです。
ロシア側から以下の問いかけがあったことを記しておきましょう。
・水素エネルギーは極東ロシアにおける二国間協力の新たな重要分野ではないでしょうか?
・サハリン地方の水素クラスターに参加するために日本企業を誘致するために必要なものは何ですか?
・極東ロシアで生産された農産物は、日本での需要が高く、高品質で環境に優しいと考えられています。その他、日本側が興味のある製品は何ですか?
・日本の参加を得て、農業分野で新たな輸出志向のプロジェクトを立ち上げるには、どのようなメカニズムを用いるべきでしょうか。
・極東ロシアと日本の企業は、現代の状況における他にどのような課題と新しいチャンスを持っていますか?
・共同活動の新しい分野は何が有望と考えるべきですか?
・今日、極東地域において日露ビジネスが直面している目標は何でしょうか。
我々はロシア側からの問いかけに、どう応えることができるでしょうか。
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