ウラジオストクで不用品のリサイクルと分別ゴミ回収が始まっています

リサイクル
ウラジオストク便り

今日、世界で資源ゴミ、特にプラスチックゴミの増加が懸念されていますが、ロシアも例外ではありません。

2019年から始まった国立生態学プロジェクト「エコロギヤ」の推進により、ロシア各地で廃棄物のリサイクルと処理場のリノベーションが行われ、市民によるゴミ分別の活動が始まっています。

エコロギヤについて

今回は、こうしたロシアにおけるエコ意識の高まりのなか、ウラジオストクで新しく始まった不用品のリサイクルとゴミの分別事情について、インスタグラマーのアンナさんが解説してくれました。

ウラジオストクでは2019年7月、郊外のフトラヤレチカに資源ゴミ回収センターが開設されました。この写真は数年前に撮影したゴミ焼却施設ですが、その後閉鎖され、この敷地にできたのが回収センターです。

数年前に撮影したゴミ焼却施設

ゴミはいったんまとめて回収され、段ボールや紙類、ペットボトル、プラスチックシート、ガラス、缶、ボトル、鉄などに分けて手作業で分別されます。リサイクルできないゴミはプレスし、ごみ処分場に積み上げます。

分別されたガラスの資源ごみ
分別されたプラスチックと缶の資源ごみ

その結果、市内でリサイクルされるゴミは全体の6~8%から15%ほどまで伸びたそうです。エコロギヤでは2024年までにこの指数を60%まで伸ばすことを目標としています。

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これを達成するには市民の協力が必要です。ロシアではまだゴミを分別する人は少ないといっていいし、リサイクルできるゴミの種類も限られています。ですから、回収センターを開設したことは、環境問題に関する市民の意識を高める大事なステップでした。そして、リサイクル・リユースの推進もそうですが、余計な物を買わない(できれば生産しない)習慣を身につけることも大切です。

この写真は、私が昨年12月に初めて回収センターを訪ねたときに撮ったものです。私が手にしているプラカードには「В моём городе есть раздельный сбор(私の町ではゴミを分別しています)」と書かれています。

回収センターを訪ねたときに撮った写真

壁には「Разделяй отходы, думай о будущем(資源ゴミを分別し、将来について考えなさい」と書いてあります。私の背後に描かれた絵は、プラスチックゴミで汚染された海です。

ウラジオストクでは分別ゴミの回収は、ラスデリニ・スボル(Раздельный Сбор Владивосток)というボランティアの人たちによって始まりました。

※ラスデリニ・スボルについて

同ボランティアグループのソフィア・ヴァヴィロワ(Софья Вавилова)さん は次のように話します。

「私たちの運動は2011年にサンクトペテルブルクで始まり、ウラジオストクでは2018年から始まりました。初回のイベントの参加者は50人程度でしたが、その後増えて2000人を超えることもあり、市民の関心の高まりを実感します。

ウラジオストクには、日本や中国、韓国、シンガポールなどのアジアや欧米の国々を訪ねた人たちが多く、それぞれの国でゴミの分別やリサイクルの活動が行われていることを知っています。これらの活動は、自分たちの子供の将来と自身の健康の問題です。こうしたふたつの理由から少しずつ市民の意識も変わってきたと思います」

ラスデリニ・スボルは、2カ月に1回、回収センターでイベントを行っています。そこでは参加者が自分で分別したゴミを回収してもらうことだけでなく、不要となった衣類や家庭用品を動物保護センターや生活困窮者支援センターに引き渡したり、寄付することができます。このイベントには、食品ロス削減を目的としているフ-ドシェアリングプロジェクトも参加しています。自宅の分別ゴミを回収センターまで運んでくれるエコタクシーも活動します。

ラスデリニ・スボルの活動の様子
ラスデリニ・スボルの活動の様子2

では、ウラジオストクではいま、不用品や不燃ゴミはどこに出せばいいのでしょうか。ゴミの種類別に説明します。

この絵は回収センターの壁に描かれています。「プラスチック」「紙類」「ガラス瓶」「鉄」を回収することを意味しています。

回収センターの壁に描かれた絵

①紙類、段ボール、電球、薬品、電気製品、発泡プラスチック

これらは回収センターに持ち込み、週に3回、自分専用のボックスや袋に入れることができます。ゴミの分け方で困ったら、ボランティアに問い合わせしてください。その日回収されたゴミはリサイクル会社に渡されます。

②電池、電球、検温器

これらは回収センターのほか、専用ボックスで回収しています。専用ボックスは家電量販店やホームセンターなどに設置されています。

専用ボックス

電球や電化製品、水銀を含むもの、中毒性のもの、家具などを分別することは環境にとって欠かせないことです。

③ペットボトル、瓶、アルミ缶

これらの回収方法が以前とは変わりました。これまでは回収センターに持ち込んでいましたが、2020年以降は市内に設置されたオレンジ色のコンテナに出すことができます。市内の住宅地にはこのようなコンテナが200台ほどあります(週に1~2回くらい回収されますが、コンテナが埋まっていてゴミが出せないときもあります)。

市内に設置されたオレンジ色のコンテナ

④タイヤ

タイヤ修理センターに有料(100円/1本)で出すことができます。

⑥洋服、靴、アクセサリー

市内の古着屋やセカンドハンド(中古品)の店で預かってもらえます。

ウラジオストクでリサイクルに出せないゴミもあります。沿海地方にはリサイクル工場がまだ少ないので、回収されるゴミの種類が限られているからです。リサイクルできないのは、テトラパックやホイル、ゴム、おむつ、コーヒーカップ、食料品、衣類、ポリ塩化ビニールなどです。

先ほどのオレンジコンテナの設置された場所は、預かってくれるゴミの種類ごとにRecyclemap.ruというサイトに掲載されています。

オレンジコンテナの設置場所がわかるwebサイト

このサイトの見方は簡単で、地図上の番号をクリックすると、回収してもらえるゴミの種類がアイコンで示されています。ひと目でわかるアイコンなので、ウラジオストクに旅行に来られたときは、不燃ゴミを捨てる参考にしてください。

アンナさんは話します。「私自身、こうしたことに目覚めたのは昨年10月頃からで、家庭や職場のペットボトルや瓶、紙類のゴミの分別を始めています。ペットボトルやガラスの瓶は、近所にあるオレンジ色のコンテナに出します。

でも、それ以上に心がけているのは、いらなくなったものをリユースのためにネットで販売したり、洋服は無料で希望者に渡したりすることと、なるべく余計なものを買わないようにすることです」

こうした環境を意識した活動は以前、ハバロフスクチャンネルで配信したフリマ計画「スバルカ」ともつながっていると思います。

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