6月24日、延期されていた戦勝記念日のパレードが行われました
港を見渡す中央広場に面したスヴェトランスカヤ通りを埋め尽くす装甲車、兵士も足を高く上げて行進しています。いったいこれは何事でしょうか? 映画の撮影シーン?
6月24日(水)の午前中、ウラジオストクで戦勝記念日の軍事パレードが行われました。ロシアでは毎年5月9日は第2次世界大戦の勝利を祝う休日ですが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で約1ヵ月半の延期となっていたのです。
時差の関係で、ロシア全土で行われるパレードは、この国で最も東にあるウラジオストクをはじめとした極東から始まります。首都モスクワで行われるのは、7時間後になります。
※YOUTUBEのテレビ東京チャンネルで、モスクワでのパレードをノーカット配信しています。
ヨーロッパの町並みが続く美しい港町も、この日ばかりは一変します。ウラジオストクを訪ねた日本人が、いちばん驚くのがこのパレードを目撃した瞬間かもしれません。
でも、写真や映像を観るだけでは伝わらない、このパレードに対するロシアの人たちの思いを理解する必要があります。
地元の旅行会社日本海ブリッジのウラジーミル・ルセンコさんは「今年のパレードはロシアの戦勝記念75年目にあたります。ロシアでは、第2次世界大戦についての考え方が他の国とは少し違います。日本では1939~45年と教わると思いますが、ロシアでは41~45年、つまりナチスドイツと戦っていた時期だけを第2次世界大戦の時期とみなします。そして、大祖国戦争と呼んでいます」。
多くの人命が失われた大祖国戦争が終わった日は、ロシア人にとってどんなことにも勝るお祝いの日なのです。
ですから、午前中のパレードが終わると、街の雰囲気はさらに一変します。中央広場や噴水通りに多くの市民が繰り出し、ダンスや音楽コンサートが始まります。そして、夜は花火でにぎわいます。国を挙げてのお祭りなのですから。
ウラジオ.comの宮本智さんは「今年のパレードは、コロナの影響で遠くからしか見ることができず、例年に比べたら観衆は少ないです。基本的にはみんなTVの生中継を観ています。パレードには軍楽隊のブラスバンドもあり、にぎやかです。軍事パレードに怖いイメージを持つ人がいるかもしれませんが、ロシア人はとても親日的で、まったく好戦的な人たちではありません。戦勝記念日のパレードとそのあとに続く祭りの盛上がりはロシアらしさを感じさせてくれます」。
ウラジーミルさんがこの日、街で出会ったウラジオストクの人たちの写真を送ってくれました。まずパレードに参加した軍人の女性おふたりです。颯爽と着こなした軍服も似合っていますが、笑顔がステキですね。
もうひとりはキックボードに乗って、スポーツ湾に面した海辺通りに現れた退役軍人のおじいさん。胸にたくさんの勲章を付けています
そして、海を背景に、かわいい孫娘とツーショット。ほのぼのシーンです。この日ばかりは、退役軍人のおじいさんたちはちょっとしたヒーロー扱いになるのです。
宮本さんは言います。「ロシアの社会では、過去の歴史と現在を繋ぐ軍の存在や軍人に敬意払うことが根付いています。だから、軍事パレードも市民にとってはお祭りみたいなもの。それでみんなも楽しいから、こんなに盛り上がるのです」。
このような考え方や認識については、第2次世界大戦の敗戦国である日本人には理解が難しいかもしれません。両国の歴史とともに文化の違いを深く理解するという意味で、戦勝記念日のパレードは貴重な体験といえるのではないでしょうか。来年は、コロナも終わって、例年通り5月に行われるといいですね。
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