ロシアの現代アートの世界を体験してみませんか
ウラジオストクには美味しい食事やフォトジェニックな風景、親しみいっぱいで語りかけてくれる地元のロシア人たちなど、たくさんの魅力があふれていますが、アートの世界もなかなか面白いんですよ。
なかでも市内から北へ少し離れた郊外にあるザリャー(фабрика ЗАРЯ)と呼ばれるアートコンプレックスは、注目すべきスポットです。
ここはソ連時代の縫製工場をリノベーションしてアートスペースに生まれ変わった施設で、いま世界の多くの都市で実践されているアートムーブメントがウラジオストクにもあるということ。ザリャーで定期的に行われる国内外のアートの企画展や映画上映、ワークショップは、日本では知りえない、極東ロシアならではの興味深い内容にあふれています。
5月上旬現在、残念ながら新型コロナウイルスの影響で休館中なのですが、昨冬から「FAR FOCUS. PHOTOGRAPHERS OF VLADIVOSTOK(極東の視点、ウラジオストクの写真家たち」という企画展をやっています。公式サイトをみると、5月17日までの予定ですが、もしかしたら休館の影響もあり、再開とともに延長されるのではないかと思っています。
この企画展では、ウラジオストクに縁のある19名の写真家やジャーナリストなどによる約400点の写真がいくつかのテーマに分かれて展示されています。
ロシア沿海地方に暮らす人たちの暮らしや風物はもとより、季節の風景、ストリートの光景、建築、イベント、そしてソ連時代から体制崩壊を経て今日に至る時代を生きてきた、さまざまな民族と階層にまたがる市民のポートレイトなどを観ることができます。
実験的なアート作品も多数あります。
とてもひとことでまとめることはできないのですが、それは、これまで日本人がほとんど知らなかった世界といえるかもしれません。
このユニークなアートセンターを設立したのは、ナホトカ出身のビジネスマンで美術品コレクターのアレクサンドル・メチェーチンさんです。モスクワ在住の彼は、地元に何か貢献できないかと考えて、2013年にザリャーを設立しました。
そして、実際の企画展を立案構成しているのは、同じくモスクワ出身のキュレイターのアリサ・バグドナイチェさんです。彼女はモスクワとウラジオストクを行き来しながら、次々と新しい企画を立ち上げてきました。
「モスクワにいると、ヨーロッパのアートやアーティストと接する機会も多く、ネットワークも生まれやすい。だからこそ、遠く離れた極東のウラジオストクにこれらのアートを伝えることができないか。目的はこの地域のアーティストの可能性を開くことにあります。これは、モスクワに向かってという意味だけでなく、アジアに向けて開いていくという意味合いもあります。すぐそばに日本や中国、韓国といった国があり、ウラジオストクのアーティストの作品や活動を発信し、評価してもらうことで、アーティスト本人だけでなく、この地域のアート業界の発展につながればいいと思っています」と話す。
施設内には、美大生などが使えるスペースや国内外のアーティストを招いて創作活動の場として使ってもらうためのアーティストinレジデンスも募集しています。企画展を観たあとに休めるすてきなカフェもあります(その話はまた別の機会に)。
ウラジオストクに行ったら、半日くらいかけてぜひ訪ねてもらいたいと思います。
場所は、市内中心部のオケアン大通りのバス停から路線バス59番に乗って終点下車(約40分)し、通りの反対側の丘の上にあります。
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