ナホトカのアジアレストランでカリフォルニアロールが定番メニューの理由
ロシア沿海地方の港町ナホトカ(Находка)は、かつて日本からモスクワやヨーロッパ方面に旅する乗客が利用するシベリア横断鉄道の始発駅でした。それがウラジオストクに移って以降、その地を訪ねる人は少なくなりましたが、とてもいい町です。
博物館を見学したあと、学芸員の人に教えてもらった近所のレストランでランチしました。
その店は「ビッグブッダ(BiG будда)」という名のアジアレストランです。
実はこの店、ウラジオストクのグム百貨店内にある同名のアジアレストランの支店だそうです。
店内はそれほど広くはありませんが、アジア風のエスニック柄のカーテンで仕切った個室が並び、地元の家族連れも訪れていました。
メニューはロシア語のみですが、写真付きなので指差し注文できます。
タイやベトナム、韓国料理が中心ですが、日本ではめったにお目にかかれない独特のカリフォルニアロールがあります。
つい注文してしまいました。これです。ワサビもそうですが、ガリの色も妙に人工的に赤くて。う~ん、われわれの知る寿司とは別物ですね。
フライドヌードルも頼んでみました。
ナホトカのような極東ロシアの小さな町でもアジア料理は人気のようです。その理由は、東南アジアの国々や日本、韓国が極東ロシアの人たちの人気の旅行先だからだそうです。
以下のレストランは、ウラジオ.comの宮本智さんが取材してくれたものです。
まず「トキオ(TOKIO)」 。この店も、ウラジオストクの和食レストラン「Tokio」チェーンのナホトカ店です。店内はなんちゃって日本風で、ここでもカリフォルニアロールをメインとしたご当地寿司が食べられます。場所はバスターミナル(Автовокзал)から徒歩5分ほどにあります。
もう一軒は、ジョージア料理が食べられる「カフェ・テラサ(Кафе терраса)」です。
ナホトカでは人気の店だそうで、美人スタッフが揃っています。地元の家族やグループのパーティーなどでも利用されることが多いそうです。
ところで、ナホトカのアジアレストランでカリフォルニアロールが定番メニューとなっているのはどうしてなのでしょうか。日本に近いから、影響を受けて採り入れられたのか。どうやら違うようです。
日本食の海外進出の歴史を振り返ると、1980年代のアメリカ西海岸におけるヘルシー志向の巻物寿司ブームが牽引した欧米ルートと、1990年代の円高とともに日本企業と一緒に外食チェーンが渡ったアジアルートの、大きくふたつの潮流がありそうです。
ジェトロが2014年3月に実施した「日本食品に対する海外消費者意識アンケート調査」によると、モスクワ、ホーチミン、ジャカルタ、バンコク、サンパウロ、ドバイの都市別アンケートで、サンパウロとドバイを除く4都市で「好きな外国料理の1位」として「日本料理」が選ばれています。
当時、モスクワで日本食の人気は1位(35.4% )でした。ウラジオストクの日本食レストランチェーンの『トキオ(Токио)』の1号店がオープンしたのも2008年です。
こんな連想がわいてきます。カリフォルニアロールが生まれたのは1960年代のロサンゼルスのリトル東京といわれています。その後、カリフォルニアロールは大西洋を渡り、ヨーロッパ全域に広がります。さらに東に向かい、モスクワに届いたのち、少し時間差を経てシベリアの果てにたどり着いたということではないでしょうか。
カリフォルニアロールは地球をひとめぐりして、ついに成田からフライト2時間、「日本にいちばん近いヨーロッパ」である極東ロシアに届いたというわけです。そう思うと、感慨深い気がしませんか。
味は残念だけど行ってみたい、海外の「おもしろ日本食」レストラン | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
最後に、ナホトカで滞在したいという人のために、おすすめホテルを紹介します。
「プリスコ・レント(Приско Рент)」 です。
高台の上にあるので日当たりもよく、客室は簡素ですが清潔です。34 室すべてバスタブ付きなのは、日本人にはうれしい話です。フロントは英語が通じるので安心です。
ホテルに併設したレストランは、写真付きメニューで利用しやすいです。行き方は路線バス4、16番で「БЕП」下車後、南へ徒歩約2分。
次回、ナホトカを訪ねる際は、必ず1泊したいと思います。
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