誰がウラジオストクの男たちをイケメンに変えたのか?

ヘアサロン「ダブロー」
お立ち寄りスポット

ウラジオストクを訪ねたことのある人なら、誰もが気づいていると思いますが、この町には美女がたくさんいます。一方、少し前までは男性のほうは身だしなみに疎かった気がします。でも、最近イケメンたちが増えていると聞きます。なぜでしょうか。

→ウラジオストクの美女たちについての紹介記事はこちら

今回は、ウラジオストクの男性の美意識に大きな変革をもたらしたと噂のヘアー&ネイルサロン「ダブロー」(Добро)のオーナー、ドミトリー・フィリッポフさん (Дмитрий Филиппов)に、その理由を聞くことにしましょう。

ドミトリー・フィリッポフさん

―ヘアサロン「ダブロー」について教えてください。

「現在、ウラジオストク市内に2店舗を構えています。本店は『グム裏』にあります。ヘアカットの料金は約2000ルーブル。ネイルは500ルーブルからです」

グム裏にある本店

※グム裏はグム百貨店の裏のレンガ造りのエリアで、おしゃれなカフェやレストランが並ぶ観光スポットとなっている。

―いまウラジオストクで最も人気のヘアサロンといわれていますが、特徴は何でしょうか。

ヘアサロン店内

「お客さん個人のライフスタイルや価値観、気分などを詳細にお尋ねして、それを髪型に反映していくという個別カウンセリング方式を採用していることです。

来店されたら、まず頭の形、髪質、頭の傷など丹念にチェックします。それから、その方の趣味や仕事、ライフスタイル、そしてさらに踏み込んで、その人が大事にしている価値観などを可能な限り聞くことにしています。

当店の美容師はこの作業にかなりの時間を割きます。最近は他のヘアサロンでも同じようなことをしていると聞きますが、営業当初からこんなことをしているのはうちだけでした」

サロン店内2

―外国人のお客さんも来られますか。

「旅行者が増え、韓国人や日本人がしばしば足を運んでくれるようになりました。主に男性です」

―外国人のお客さんとのコミュニケーションは問題ありませんか。

「英語とスマートフォンの翻訳機能でだいたい意思疎通できるので、問題ありません。また日本語であれば少しできるスタッフもいます。アジア人向けの髪型のコレクションも用意してあります」

―来店者の男女比を教えていただけますか.

「男性が7割で女性が3割です。うちの場合、男性は毎月1回髪を切りに来ますが、女性は2~3カ月に1回なので、男性の方が多くなっています。

店を始めた当初は、男女比について特に考えていませんでしたが、結果として男性客が多くなったので、自然に男性客を意識したサービスをするようになりました」

―ここ数年でウラジオストクの男性の美意識が変わったのでしょうか?

「はい、大きく変わりました。うちの店の存在が男性客の髪型やファッションへの意識を高めたという自負はあります。4~5年前は、ウラジオストクの男性はみんな似たような髪型と洋服というのが一般的でしたが、うちの店で各男性に似合った髪型を提案していくうちに、自分に合ったカッコいい髪型にする人が増えたと思います。

髪型が変われば、ファッションにも意識が向かいます。友人の誰かが変わると、周囲の人たちも感化されて、髪型やファッションを気にするようになります。いいシャンプーや整髪料を求める人も多くなります。ここ数年で、おしゃれで美意識の高い男性が確実に増えたと思います」

―いま男性客にどんな髪型が人気ですか。

「トレンドは時期によって変化しますが、いまはクラシカルな髪型が人気です」

髪型のサンプル写真

―髪型の流行やトレンドは、どこでつくられるのでしょうか。

「いちばん大きいトレンドは世界の美容シーンです。ロシアではヨーロッパというよりアメリカ発の美容トレンドに注意を払っている人が多いです。最近はロシアもレベルが上がってきて、他国から注目されてきました。ロシア国内では、モスクワが流行の発信地です。

ウラジオストクは港町で海外とつながっているので、モスクワ同様に海外の流行を採り入れるのが早いです。ただし、両者はよく似ていて、流行したかと思うと、すぐに去ってしまうという移り気なところがあります。ちなみにハバロフスクは、トレンドはゆっくりでモスクワから2年遅れくらいかな」

―髪型に時代は反映されると思いますか。

「確実に反映されます。政治的な状況は、間接的にその時代の人々の髪型に反映されます。たとえば、現在のロシアは政治的に少し浮き立った興奮状態にあると思いますが、それゆえ活発で少し攻撃性を帯びた髪型が全体としては多いです」

―ところで、ドミトリーさんはウラジオストクのお生まれですか。

「いいえ、私はウラジオストクから1000kmほど北にあるビロビジャンという町で1989年に生まれました。ビロビジャンはハバロフスクより西にある小さな町です」

※ビロビジャンはユダヤ人自治州の州都。ただし、現在はユダヤ人の比率は高くない。

― どうしてウラジオストクに来ようと思ったのですか。

「私は18歳でハバロフスクにある2年間の美容師学校に入り、卒業しました。卒業後は、1年間美容師としてハバロフスクで仕事しました。それからウラジオストクに来ました。

ハバロフスクは少しのんびりしていて、当時の私には刺激がありませんでした。そのため、ウラジオストクへ行こうと思ったんです。初めてウラジオストクに来たのですが、海があってすぐに気に入りました」

―ウラジオストクでヘアサロンを始めるに至った経緯を教えてください。

「2013年に妻と一緒に、洋服屋兼ヘアサロンというウラジオストクで初めてのコンセプトの店を開きました。場所は噴水通りで、1席だけの小さなサロンでしたが、あっという間に人気になりました。

1店目が成功したので、2店目は少し大きな規模で同様のスタイルの店を同じ噴水通りに出店しました。この2号店では美容師育成の教育事業も始めました。当時は古いタイプの美容学校しかなく、私たちのニーズには合わなかったので、新しいタイプの学校をつくろうと考えたのです。その学校で美容師を育成し、自分のサロンで働いてもらうことにしました。

その後、噴水通りから郊外にある現代アートコンプレックスの「ザリャー」に店を移しました。そして2015年末にこのグム裏店をオープンさせました。いまはこのグム裏店とザリャーの2店で営業しています」

グム裏店

―小さい頃から美容師が夢だったのですか。

「いいえ、そんなことはありません。小さい頃は絵を描くのが好きで、建築士になりたいと思っていました。ただ建築士の学校に行くには結構お金がかかり、難しいと思ったので、とりあえず技術を身につけようかなという軽い感じで美容学校に行ったんです。そうしたらこの世界が気に入り、どっぷりハマってしまい、今に至っています」

―どこに魅力を感じたのですか。

「どんなに気分の落ち込んでいる人でもきれいにカットしてあげることで、素直に喜んでいただき、気分も一新してもらえる。来るときは少しうつむき加減でも、帰るときには笑顔で送り出せる。自信なさげだった人も自信もってくれる。それがわずか1時間で実現できること。これが私にとって美容師という仕事の魅力だと思います」

―いい美容師になるためにはどんな資質が必要でしょうか。

「いちばん重要なのは、お客さんが何を欲しているのかを感じ取り、感じ取ったものをお客さんに提案できることです。必要なのは、感じ取る力。技術は経験でどんどん身につけていけるので、私は技術よりも感じ取り、提案する力が重要だと考えています」

―今後の新しい展開を教えていただけますか。

「ひとつは数年前から始めている美容サロンの開業コンサル業務です。美容サロンをしたい人がうまく経営できるように多方面にアドバイスしています。1年前にハバロフスクでサポートした店が順調に営業しています。

2つ目は、ビールや香水の販売事業です。ビールはすでに完成し、発売しています。3つ目は新店舗のオープンで、うちにとって3店目を市内に出店します」

ラベルが可愛いビール

―最後に、ドミトリーさんにとっての10年先の将来の夢は何ですか。

「そうですね。実は、小さい頃から好きだった建築の仕事に関わりたいです。自分でデザインしたオリジナリティーある家、建築をつくることでしょうか」

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