菩提樹ハニーの里、アヌチノ村でハチミツ祭りが開かれました
みなさんは「菩提樹(リンデン)」のハチミツをご存知ですか。
ヨーロッパでは最高品種とされ、強い甘みとハーブのような香りに特徴があり、「癒しのハチミツ」と呼ばれています。
紅茶やパン、ケーキにかけて食べてもいいですが、調味料のひとつとしてドレッシングに混ぜて料理に使うと、ハーブのような役割を果たすので、とてもおいしいのです。
ウラジオストクのある沿海地方は、広大で深い森に囲まれており、ロシアでハチミツ生産量ナンバーワンを誇っています。
なかでもウラジオストクから約200㎞北方にあるアヌチノ村(Анучино)は、ハチミツの村として知られています。この村では夏の収穫期が終わった8月下旬にハチミツ祭りが開催されます。
今年のお祭りが行われた8月28日(土)に、日本海ブリッジのウラジーミル・ルセンコさんとウラジオ.comの宮本智さんが現地を訪ねてくれたので、ふたりの話をまとめて報告します。
まず宮本さんの話を聞きましょう。
「アヌチノ村は別名ハチミツの村。今年で5回めのハチミツ祭りが行われました。祭りは14時からのスタートでした。
ウラジオストクから車で約3時間かけて会場である中央広場に行くと、ミツバチのコスチュームに扮した村人たちや着ぐるみミツバチが楽しく出迎えてくれました。
村の人たちや祭りを見に行った人たちは、ハチの巣のパネルの前で一緒に記念撮影したり、コミカルな専用フォトスタンドに顔を入れて撮ったり、楽しんでいました。ロシア伝統楽器バヤンの演奏もありました。
ミツバチのかっこうをしたおばさんによる子供向けのワークショップがあり、普段はなかなか見ることのできない養蜂箱を見せてもらい、子供たちは喜んでいました。
メインイベントは、No1ハチミツを決めるテイスティング&投票です。事前に審査し、選抜された10人の養蜂家のハチミツを味わい比べることができるのも、この祭りならではです。
会場には、これらの養蜂家のハチミツ売りのブースが並びます。
生産量の8割を占め、いちばん人気の菩提樹ハニーをはじめ、蕎麦の花、タンポポなど、いろんな種類が並びます。新鮮なハチミツを味見でき、リーズナブルに購入できます。
そのほか、ハチの巣から精製してつくるロウソクや養蜂関連グッズも販売しています。
ちょっと小腹が空いたら、蕎麦の実と紅茶の炊き出しが用意されています。美容と健康にもいいと日本でもミニブームの蕎麦の実が味わえます。
村にホテルはないので、車で往復7時間、滞在時間1~2時間という効率は決していいとはいえない旅程となりますが、道中の大自然に癒されるし、行く価値のあるイベントだと思います」
ウラジーミルさんはこう話します。
「ロシア沿海地方のアヌチノ村周辺は、菩提樹のハチミツ生産地として有名です。
お祭りの会場はこんな感じです。広場にはステージも設置され、コンサートも行います。
会場では多くの生産者が自分のハチミツを販売したり、来場者のテイスティングによる投稿でコンテストも行われます。
ハチミツは身体にいいし、ストレスを解消してくれるので、ロシアで昔から薬として使われています。ぜひウラジオストクに来たら、ハチミツ祭りを訪ね、新鮮なハチミツをおみやげに買っていってください」
ところで、ふたりはこの祭りに参加する前に、アヌチノ村より少し北にあるアルセーニエフ(Арсе́ньев)という町を訪ねたそうです。
アルセーニエフは、ロシア人探検家のウラジーミル・アルセーニエフの探検記録をもとにした黒澤明監督作品の『デルス・ウザーラ(Дерсу Узала)』が撮影された町です。ウラジオストクにはアルセーニエフの名を冠した博物館があるように、ロシア沿海地方の歴史を語るうえで最も重要な人物といえます。
この町には航空機工場のプログレスという企業があり、ヘリコプターを製造しているため、町の広場には、実物大のヘリコプターが展示されています。
また町には黒澤明の名を記した記念碑もあります。
そこでふたりは、町の牛乳工場を見学したそうです。工場ではミルクやヨーグルトなどだけでなく、地元のハチミツもパッケージしていました。
そのとき、工場の関係者から日本に沿海地方のハチミツを輸出できないかと尋ねられたそうです。確かに、沿海地方のハチミツは環境問題とは無縁の自然の森でとれたもの。トラたちが棲息している場所だということで、この工場でつくられた菩提樹のハチミツ(リンデンハニー)のパッケージには、トラの顔があしらわれています。
ウラジオストクのおみやげは、ハチミツで決まりですね。そして、とれたての新鮮なハチミツを買いたければ、8月下旬のアヌチノ村の祭りに行くのがいちばんといえそうです。
宮本さん、ウラジーミルさん、ありがとうございました。
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