「LOOK AT VLADIVOSTOK」写真コンテストをご存知ですか?
2020年7月上旬、ウラジオストクで写真コンテスト「LOOK AT VLADIVOSTOK」が開催され、受賞作品が発表されました。
このコンテストは2013年から毎年開催されており、ウラジオストク在住の写真家たちがプロアマ問わず、自分の作品を応募し、競い合うものです。ウラジオストクに住む人たちが日々の暮らしの中で出会ったかけがえのない出来事や瞬間的に目撃した美しい光景などをフォーカスしているだけに、旅行で訪れた私たちが知ることのできない、ウラジオストクの意外な表情を教えてくれます。
受賞作品16点を前編と後編に分けて一挙公開しましょう。
まずグランプリから。息をのんでしまうような光景です。ウラジオストク郊外の雪原の林の中を蛇行する川のように延びる一本の道路です。タイトルは「春のおとぎ話」。上空からドローンで撮ったと思われます。熟練したプロの作品です。
グランプリ
「春のおとぎ話」
Антон Блохин アントン・ブロヒン
次はキュレイター賞で、海辺の公園にある大小さまざまな鉄棒で遊ぶ子供たちとそれを眺めるひとりの老人の後姿を撮ったものです。
キュレイター賞
「鉄棒」
Константин Карпов コンスタンチン・カルポフ
3点目は観客賞で、コンテスト会場に参加した観客が選んだものです。郊外のダーチャでしょうか。子供たちがマーブルチョコレートをお皿の中で色別に分けて遊んでいます。子供たちのはしゃぐ声が聞こえてくるようです。背後に誰かのお父さんが犬と一緒に写り込んでいます。楽しく心温まる作品です。
観客賞
「幸せと喜び!」
カテリーナ・ガノチキナ Катерина Ганочкина
今回のコンテストには、551名のプロの写真家や愛好家が参加し、提出された2359点の中からコンテストにノミネートされたのは160点の作品でした。
毎年、応募作品に求めるテーマが変わるそうで、今年は「光と色」「瞬間性」「感情」「マルチプランビリティ(多重構想)」の4つのジャンルの観点からそれぞれ受賞作が選ばれています。
以下、ジャンル別の受賞作を紹介します。まず「光と色」から。
朝焼けなのか、夕焼けなのかわかりませんが、ボートを漕ぐ人たちのシルエットを美しく捉えています。港町であるウラジオストクは海に囲まれているので、このような世界もあるのですね。
テーマ「光と色」
「リズム」
Игорь Бессараб イゴール・ベッサラブ
この写真は映画のワンシーンのようなモノクロ写真です。海の見える高台の上のバス停に女性と男性がバスを待っています。ふたりは背を向けていますが、夫婦でしょうか。空は重苦しいほどの厚い雲に覆われています。
テーマ「光と色」
「停止」
Виктор Демчук ビクター・デムチュク
次のテーマは「瞬間性」です。二匹のキツネがじゃれあいながら、大きな口を開けて、何かを叫び合っているかのようです。その瞬間的な面白さを切り撮った作品です。ウラジオストクの郊外には野生のキツネが普通にいるんですね。
テーマ「瞬間性」
「ロシア語で面白い」
Зоя Дорохина ゾーヤ・ドロキーナ
サンタクロースにコスプレしたふたりが、ここはテレビ塔の上でしょうか。自撮りする姿をドローンで撮影しているものと思われます。背後には氷結したアムール湾が見えます。サンタクロースの左上には、鷲の巣展望台や中央広場の脇に建設中のスパソ・プレオブラジェンスキー大聖堂、その背後には国際客船ターミナルが見えます。手前には団地が並んでいます。ウラジオストクをこんな場所から眺める機会はないでしょうから、面白いですね。
テーマ「瞬間性」
「自撮り」
Ильдар Батршин イルダル・バートシン
最後の1点のテーマは「感情」です。ふたりの退役軍人が少年のように肩を寄せ合い、思わず頬にキスする姿は微笑ましいですね。どんな昔話を語らっているのでしょうか。おそらく去年の5月9日の戦勝記念日に撮られたものではないでしょうか。
テーマ「感情」
「遥かなるコサック」
Александра Ильинова アレクサンドラ・イリノワ
これらの作品には、ガイドブックに載っているような、いかにもウラジオストクらしい観光スポットも、レストランやカフェの おいしい 料理の写真はありません。そのぶん、この町に実際に出かけてみなければ出会うことのできない新鮮でフォトジェニックなシーンがあふれていることを知らされます。
次回は後編として残りの8作品を紹介します。
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