MONOCHROME−モノクローム寫眞「11月のウラジオストクを訪ねて」
2020年1月に立ち上げた「ウラジオストクチャンネル」ですが、今年に入って長い間配信をお休みしていました。紛争地から遠く離れた極東ロシアの様子は、現地の住む友人たちから伝えられていましたが、「平穏な日々が続いている」という報告を聞いて安心してはみたものの、紛争地と縁のある方々のことを思うと、それをただ配信していいものか悩みました。
そんな折、北海道の稚内在住の中川善博さんから連絡をいただき、こういう時期だからといって配信をストップしてしまうのはどうか。できる限り、現地の様子を伝えたいとのお話をいただき、今回の配信となりました。
モスクワ留学やサハリン在住経験のある中川さんですから、豊富に撮りためた作品をお持ちです。中川さんの作品の特徴はモノクローム。本来は明るい光に満ちたウラジオストクの街並みですが、この時期ということで、むしろふさわしい気もします。
2018年11月初旬にウラジオストクを訪ねたときの作品です。ちょうどいま現地ではこんな風景が見られるのだと思います。美しい写真の数々をご覧ください。
個人的には、既に過ぎた人生の殆どの期間に亘って「冬季から早春に積雪が見受けられる」というのが当然視されている地域で過ごしている。残りの人生に関しては如何か判らないのだが。
何時の間にか稚内在住が最も長い期間になっているが、育ちは札幌で、ユジノサハリンスクやモスクワに在った経験も在る。何れも積雪が当然視されている。積雪が珍しい地域に在ったのは、自身の人生の中では4年間程度に過ぎない。
「冬季から早春に積雪が見受けられる」というのが当然視されている地域に在ると、何か「1年」について「雪が積もっている時季」と「雪が積もっていない時季」とに、勝手に大別してしまっているような気もしないではない。当然ながら、積雪が当然視されているような地域にも四季の折々は在る。が、雪の存在感は余りにも大きい。
そういう理由で、何か「11月」が毎年のように気になる。
日本国内では、11月には紅葉が見頃であるというような地域も多く在ると思う。が、積雪が当然視されているような地域では11月になると「雪が降り積もり始める場合」が見受けられるようになる。
ウラジオストクという場所も、積雪が当然視されているような地域ということになる。実は11月上旬に訪ねた思い出が在る。 早朝の未だ暗い街へ出てみると、足元に雪が少し積もった箇所が見受けられた。
前日にウラジオストクに着いた時点では、少し風が冷たかったものの、未だ雪は積もっていなかった。深夜から早朝に雨、または雪が降り、冷たい降水で冷えた場所に雪が積もったということになる。宿の部屋で早起きし、暗い早朝から寒さを厭わずに歩き、巨大な橋梁の在る景色でも眺めに行こうと考えたのだった。
雪交じりな朝…:レーニン…駅…橋梁…(2018.11.05)
湿った感じの坂道が多い街を歩き廻ると、何やら雪が交り始めた。そして雪の中に灯りや橋梁が浮かび上がるというような様相を呈した。
「雪ニモ負ケズ…」:<黄金橋>を望む早朝…(2018.11.05)
雪の中に灯り…:<黄金橋>を望む早朝…(2018.11.05)
灯りは消え、雪は続いた…:<黄金橋>を望む早朝…(2018.11.05)
そういうことで降雪が記憶に残ったが、昼頃までに天候が少し好転した。やがて雪が余り気にならない、少し寒い夕刻という様相になった。
完全に暮れた直後…:<黄金橋>を望む夕刻…(2018.11.05)
「積雪期が始まる頃」というのは、このウラジオストクの例のような感じだ。
降水が雪になる率が高いのは3℃を切るような時だと思う。5℃や6℃では未だ「冷たい雨」だ。
そして地面が十分に冷えなければ雪は積もらない。少し長く降り続いて、いい加減に地面が冷たくなった辺りで雪は積もる。道路面等に比べると、金属製の構造物、車体が金属ということになる駐車中の車輌は「より冷たくなり易い」ので、少し先に雪を被った状態になる訳だ。
このウラジオストクの様子を観て、もう少し雪が積もった状態も観たいと思ったのだったが、現時点では「未だ果たせぬ遠い約束」という様相を呈している。
降雪が見受けられる時季に何事かが起こり、数ヶ月を経ると「雪が降る時季に起こって、もう夏になる?」という程度に感じる。更に時間が経てば「また雪が降る時季に入るか?」と考えてしまう。最近は、そういうようなことを考える機会が変に増えている。
撮影:中川善博
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